補強の方法は競技のレギュレーションや、必要な強度によって様々ですがバーをボルトで固定する簡易的な方法から、溶接で板やバーを固定する特殊な方法まであります。
【1】既存のボルトを用いて補強材を取り付ける方法
(ストラットタワーバーなど)
ストラットタワーバーやパフォーマンスメンバーなどは、車両のボルトを用いて共締め(一緒に締め付け)する、最も一般的な方法です。
車種別に設定されていますが、車両の仕様やオプションパーツによって同じ車種でも取り付かないこともあるので、適合確認できていない車両への取り付けはできません。
また、多くのメーカーから様々なものが販売されているので選ぶ楽しみはありますが、取り付け位置や構造、取付性、そして材質、重量などはそれぞれ異なり、耐久性や効果が低いものもあるので気をつけてください。
【2】穴を開けて、専用のロールケージを取り付ける方法
Keiスポーツのワンメークレース用に開発したロールケージはKeiスポーツレース車専用の工場でボデーに穴を開けて取り付けています。
ロールケージはその名の通り、ロール(転倒)した際に乗員を守るケージ(かご)で、安全装置に分類されますが、高強度の材料が使用され、強固に取り付けられているため、ボデー全体の歪みを減らすことができ、補強材としての効果も大きくなります。様々な競技用の市販品もあります。車種別設定でも取り付けには特殊な作業を伴うため、一般の整備工場や板金工場では取り付けができません。また、室内が狭くなったり、乗車定員の変更が必要になるものもあります。
【3】ボデーの骨組みの中に発泡ウレタンを充填する方法
車両の側面骨格(サイドステップ内)の中に発泡ウレタン材を充填する方法は、近年、チューニングカーを中心に広まりました。ボディー構造を活かしながら主要な骨組みを強化するので、応力が集中しません。また、材質がウレタンなので
非常に軽量です。施工作業は非常に難しく、高度な技能と経験が必要なので、レース車両のメンテナンスガレージでも一部でしか実施できません。
【4】溶接による補強
レギュレーションによりますが、国内や海外の最高峰のレース車両で用いられる方法が溶接です。標準車で接合された部位のスポット溶接を増加させたり、張り合わせ面をさらにもう一度溶接する方法は広く用いられます。イグニススーパー1600などトップカテゴリーの車両は、専属の設計者が補強バーの形状や構造、数量などを三次元解析して最適化するのが一般的です。標準ボディーとロールケージを併せた、安全で強いボディーが新規に設計されます。
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